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日本のスパコン開発の父三好甫先生の没後10年を記念する計算科学シンポジウムを2011年9月に開催しました

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三好甫先生記念計算科学シンポジウム


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次世代スーパーコンピュータ開発関係

文科省,理研の動き


次世代スーパーコンピュータ「京コンピュータ」は本格的運用を2012年に控えて既に8月末に全システムの据付を完了して調整運転を続けている.
毎年6月と11月に発表されるTop500では6月に整備途中段階の672筐体(CPU数68,544個)の構成でLINPACKベンチマーク世界最高性能8.162ペタフロップス(毎秒8,162兆回の浮動小数点演算数)を達成し、TOP500リストの首位を獲得した.実行効率は93.0%と高水準の記録を達成した.
日本のスーパーコンピュータがTOP500リストで第1位となるのは、地球シミュレータの2004年6月以来のこととなる.

引き続き11月では全システムでのLinpack記録でトップの地位を維持した.
この記録は864筐体(Cores数705024 CPU数88128)構成でLINPACKベンチマーク世界最高性能10.510ペタフロップスで世界ではじめて10ペタフロップスを超える記録となり,「京」の目標を達成した.
このときのピーク性能は11.28038ペタフロップスで実効効率は93.17%でこの数値も世界一である. また消費電力は 12.659 MW であった.

理研・富士通共同プレスリリース


また発表の行なわれたSUPERCOMPUTING2011の 実アプリの世界最高記録に与えられるGordon Bell Prize Awards でも最高性能賞を受賞した.

理研・筑波大学・東京大学・富士通共同プレスリリース

受賞の対象となった成果は、次世代半導体の基幹材料として注目されているシリコン・ナノワイヤ材料の電子状態を計算したもの。現実の材料のサイズに近い10万原子規模(直径20ナノメートル、長さ6ナノメートル)のナノワイヤの電子状態について、計算性能を確認するための量子力学的計算を行い、実効性能 3.08ペタフロップス(実行効率 約43.6%)を達成した。また、10,000個から40,000個の原子規模からなるシリコン・ナノワイヤについて電子状態を詳細に計算した結果、断面の形状によって電子輸送特性が変化することも明らかにした。

Gordon Bell を得た計算では
442,368 コア (576 筐体) 全システムの約66.67%,7.07ペタフロップス を使用して
実効効率 43.63% を得た.

実効効率44%はSPARCとしてはよい数値である.


さらに「京」はHPCチャレンジ賞 4部門すべてで第1位を獲得した.
− LINPACKに続き、スパコンの総合的な性能を評価するベンチマークでも高性能を実証 −

理研・筑波大学・東京大学・富士通共同プレスリリース
より引用

  独立行政法人理化学研究所(理事長 野依良治、以下「理研」)、国立大学法人筑波大学(山田信博学長、以下「筑波大」)、および富士通株式会社(代表取締役社長 山本正已、以下「富士通」)は、理研と富士通が共同で開発中の京速コンピュータ「京(けい)」※1で測定した、スパコンの総合的な性能を評価するHPCチャレンジベンチマークの実測結果により、2011年「HPCチャレンジ賞※2」の4部門すべてで第1位を獲得しました。

  HPCチャレンジ賞で第1位を獲得したのは、
   @大規模な連立1次方程式の求解における演算速度
   A並列プロセス間でのランダムメモリアクセス性能
   B多重負荷時のメモリアクセス速度
   C高速フーリエ変換の総合性能

  の4部門すべてです。

  京は、LINPACKの演算速度のランキングであるTOP500リストでも6月と11月に連続して第1位を獲得していることに加え、汎用スパコンとしての総合的な性能においても高い評価を得たことになります。

  HPCチャレンジベンチマークは、科学技術計算で多用される計算パターンから抽出した28項目の処理性能によって、スパコンの総合的な性能を評価するベンチマークプログラムです。

  この中でも特に重要な
   @Global HPL(大規模な連立1次方程式の求解における演算速度)
   AGlobal RandomAccess(並列プロセス間でのランダムメモリアクセス性能)
   BEP STREAM(Triad) per system(多重負荷時のメモリアクセス速度)
   CGlobal FFT(高速フーリエ変換の総合性能)

  の4つについては、HPCチャレンジ賞(クラス1)として各部門の第1位が表彰されます。

  筑波大は4つのプログラムのうちGlobal FFTの高速化に大きく貢献しました。その上でこれら4つのベンチマークプログラムの性能をHPCチャレンジ賞(クラス1)に登録しました。

 ここまで



HPCチャレンジ賞 4部門は「京」が単なるLinpack性能10ペタではなく,高性能な実効性能を達成するための目標であり,同じく実アプリ性能評価のGordon Bell賞とともに本来の目標が達成されたことを意味する.

2位を狙うようなものであったらこのような記録は決して得られなかったであろう.大きな政治的な困難と最終段階での東日本大地震による工場被害にも拘わらずそれらを乗り越えて今回の成果を達成した関係者の努力に拍手を送りたい.









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